ヒーローものゲーム、子供の攻撃性高める可能性
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20050107ij51.htm
来年度の講義のノート作りのためのメモ。
坂元教授らは2001年11月から12月にかけて、神奈川県や新潟県などの小学5年生を対象に、よく遊ぶテレビゲームと攻撃性に関するアンケートを実施、1年後に同じ児童に追跡調査を行い、周囲の人への敵対心を表す「敵意」など、攻撃性に関する5つの指標について、その変化を調べた。
1時点の調査では相関関係までで因果関係が特定できないので、パネル調査をした、と。
6校の児童592人についての調査結果を分析すると、知的だったり、見た目がかっこよかったり、魅力的な特徴を持つ主人公が登場し、攻撃するゲームでよく遊んでいた児童は、1年後に「敵意」が上昇していた。「ひどいことをした悪者に報復する」という、暴力を正当化するゲームでよく遊んでいた児童も同様に「敵意」が高くなっていた。
テレビやフィルム(映画)の暴力描写の場合も、いっしょに見ている大人がそれを正当化するか否定するかによって影響の向きが逆になる、というのはよく知られた古典的知見だが、それがテレビゲームの場合もあてはまる、と。
これに対して、攻撃回数が多い、たくさんの人を攻撃するなど、暴力描写の程度が高いゲームで遊んでいる児童の場合は、研究チームの予想とは反対に、むしろ攻撃性が低下していた。
カタルシス効果か。テレビの暴力映像の場合、カタルシス効果が確認された研究はほとんどないので、これがカタルシス効果によるものだとすれば、テレビとテレビゲームでは影響のプロセスが異なるという重要な知見。
このパネル調査は、↓に紹介されているパネル研究事例(4)をさらに追跡調査したものだろう。
- 作者: 坂元章
- 出版社/メーカー: メタモル出版
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 41回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
2章 「ゲーム脳」は本当に恐怖なのか?
3章 暴力との関係を社会心理学から検証する
4章 起こりうる悪影響を探る
5章 悪影響と同時に有効利用にも目を向ける
6章 業界、家庭、学校、行政、地域、NPOへの期待
せめてこの本が「ゲーム脳」本や「音読脳」本くらい売れてくれるといいのだが。