大学院進学するな、させるな問題[承前]


追記すると言っておきながら、追記エントリを書くひまがなかったので*1、またid:palaga:20041201 さんとこに書いたコメントを転記してお茶を濁しますです。

「重点化しないと大学にお勤めの方々が食っていけません」というのは、私見ではやはり違います。重点化しても食っていけませんし、場合によっては、重点化することでさらに食っていけなくなります。院生の場合、重点化しようが、学部生に比べて、数はしれてます。少なくとも私学の場合、その点でスケールメリットに極めて乏しい。場合によっては逆に持ち出しです。私自身は、後継者[=大学教員になってくれる人]養成ということを考え[に入れ]なければ、大学業界にとっては(産業・経営という面での)メリットはないに等しいと考えています。だから問題だろうと。後継者養成をもうちょい真剣に考えねばならんだろうと。
ちなみに専門職大学院については、inabaさんもおっしゃられているように事情が別です。かつ、経営面だけ取り出して考えれば、専門職大学院だって採算に合いません。今後、どう運営していくかにもよりますが。
象徴としての「東大」についていえば、文科省は明らかに大学院重点化について、格(差)をつけて考えてます。たとえば申請に行ったとして「あんたんとこが重点化してどーすんの」てな具合(ここまで露骨なもの言いはしないでしょうが)。東大>京大>その他旧帝大>旧師範・商大系(筑波大、神戸大など)>その他もろもろという格付けは(学部以上に)文科省的には厳然とある。それでも、COEやら何やらでもいっしょですけど、私学はそれにのっからんと(大学院重点化せんと、COEとらんと)格下大学と世間や受験生にみなされるのがおそろしく怖いわけです。ある種、くだらん話ではあるのですが。
長々と書いてしまってすいませんが、私が言いたいことはただ2つ。
何となく大学院行くのはやめましょうと。うまくいったら、オレもワタシも教授になれるかも(とまでは思ってなくても)てほど、全然甘かないよと。むしろそんな気分で来るのは「自殺行為」なんで、大学院進学考える時点で、修士終えたらどうすんのか、きちっと覚悟もっとけよと。これは、私のエントリにトラバくださるような院生・ODの方々には、すでに言わずもがなのことなんで、その点では書く意味のないエントリなんです。
むしろ(これが言いたいことのもう一つ)大学院担当教員に向けて、おまえら、安直に大学院進学考えてるやつらを安直に入れてどーすんだ、というのが強調したい点で。それは自殺行為だぞ、と諭す(そして自分たち=大学業界にとっても自殺行為であることを自覚する)のがおまえらの役目だろうと。「おまえら」と他人事のように書いてますが、むろんこれは自分に向けても言ってます。
こういうことは、もはや考えたり論じたりするまでもない現状認識であるべきはずで、むしろ大学人たちが考えなくてはいけない問題は、この現状のなかでどう後継者を育てる=大学業界を存続させるかです。むろん、社会的には「大学なんぞいらねー」というオプションもあるはず。社会がそう判断するならそれでいいかもしれんのですが、大学でオマンマ食ってるわれわれはまず危機的な現状認識は、ちゃんと共有せねばならんはず。それが共有されていないのは、バカの集まりか、おれたちは、と思う。
長文失礼。狭い身内のブログ界隈でうだうだ言ってても限界があるので、もうちょい広く問題を訴えていくつもりではあります。


えっとー、時間ができたら、もうちょっとちゃんと調べてまとめて書きます。
いや、どの業界だって、就職するにあたっては、多かれ少なかれ「死ぬ覚悟」がいるのは、おいらもわかっちゃいるんだ(一応、会社勤め経験あるし)。
その点では、大学業界だって、程度の差であって、本質的な違いはない。
しかし、その就職を受け入れる側の観点でいえば、営利企業ってのは、自らの存続について、もうちょい大学よりは危機感をもつはずなんだ(そうでないところは潰れる)。
んで、その危機感のないとこは、大学だって潰れるとこは潰れりゃいいんだ。
問題は、個々の大学じゃなくて、大学業界全体にその危機感が薄いことなんだ*2
口先ではなんちゃらかんちゃら言ってるけども。
だから、半ば真剣にオレに転職先(他の大学に移るという意味でなく)がありうるかどうかを考え始めている今日この頃。

*1:「武闘派」なもんで(笑)、今日も某所で某学長&補佐に「ごるぁ、きちっと筋とおさんかい」と噛みついて討ち死にしてきたです。そういうことやってるから、ストレスと疲れがたまるのはわかってるんだが

*2:いや、この言いかたもちょっと違う。個々の大学で自らの存続の危機感をもっているところはかなりある。しかし、それを大学「業界」全体の問題として取り組んでいく姿勢が薄いと言ったほうがいいか