広告ツールとしてのブログ

ブログで口コミ 映画PR
テレビCMとネット連動
電通とNTTレゾナント(東京・千代田)は、テレビCMなどのマス媒体とインターネットを連動させた映画のPR活動で連携する。日記風の簡易型ホームページ「ブログ」を利用、若者らの間で映画の評判を口コミで高める。電通などが出資して九月下旬公開の邦画のPRが第一弾となる。だれもが手軽に自分の意見を公表できるブログを口コミ効果が期待できる販促ツールとして活用する。
……。
gooでは映画宣伝の公式ページを設けるだけでなく、同映画の関係者が「特設ブログ」を立ち上げる予定。レゾナントはブログ作成・運営サービスも提供し、開設件数は二万件を超えている。人気ブログを紹介するページ上に特設ブログのコーナーを設け、閲覧者や試写会を見た人に自分のブログに感想を書き込むように勧めるなど、ネット上で口コミを広げる策を詰めている。
書店の店員の手書きチラシが販促効果を発揮するなど、若者がエンターテインメントに出費する際に、口コミ情報が有力な判断材料になっている。電通レゾナントはテレビCMで作品の認知度を高めつつ、ブログなどによって、映画を頻繁には見ない若者にも「この作品は見たい」という気分を広げたい考え。

(日経04年8月23日付朝刊)


広告される映画はこれ
広告も「つながり」の時代へというか、先祖返りの口コミ化というか。
ま、あらゆるところへ闖入するのが、広告の香具師的本能であるわけだが。


こういう記事を読むと、条件反射の神経をCM媒体として売る近未来社会をえがいた星新一ショートショートを思い出す。
ぽんと肩を叩くと薬のCMソングを歌ったり、握手するとお菓子のキャッチコピーを口ずさんだり、という内容だったと思う。
P.K.ディックの描きだしたように*1、広告は死の間際までわれわれの生に闖入してくるのだろうな。
筒井康隆ショートショートにも、何の音も音楽も入っていないレコード=CMの入っていないレコードが一番高価、ていう近未来社会をえがいたショートショートがあったっけか*2



*1: 「CM地獄(Sales Pitch)」、『ディック傑作集4 まだ人間じゃない』ハヤカワ文庫

*2: 「にぎやかな未来」、『にぎやかな未来』角川文庫