武士道→青春→ドラマになった高校野球

卒論2次草稿のチェックが一通り終わる。けっこうおもしろいのが今年は(も?)いくつかある。だから大学教員はやめられん。
ひとつだけご紹介。
戦後を中心に高校野球、「甲子園」の新聞報道をジミ〜におっかけてるやつがいるんですが、先行研究にもある通り、かつて「ベースボール」が日本に移入され「野球」になったときに、「武士道」的な精神論が流れ込んでいる。旧制一高に由来する精神風土ですな。
こうした「武士道」精神的論調が戦後もしばらく高校野球報道に見え隠れするわけですが、70年あたりから「青春」というキーワードが現れ、大々的に報道に使われるようになる。このキーワードを広めるきっかけになったのは、68年に制作された市川昆の高校野球ドキュメンタリー映画『青春』。さて、80年代になると、キーワードは「ドラマ」に変わっていくのだそう(このあたりはまだ未完成だったので、概要だけ口頭で聞いただけですが)。
この「武士道」→「青春」→「ドラマ」という移り変わりですが、この卒論を書いているゼミ生いわく、「見田宗介さんの理想→夢→虚構っていう時代区分に、なんかけっこうぴったりはまっちゃうんですよねえ」。
ほんとだね。おもしろいね。はまりすぎちゃって、ちょっとイヤんなるくらいだね。
まあ、「武士道」ってのが、進歩派的な理想でなくて、伝統派的な理想だってことはあるけどね。
卒論完成が楽しみである。