「安心」のモニタリング

関西の私鉄で次のようなサービスが開始されるそうだ。
(元ネタのプレスリリース:http://www.surutto.com/about/release/p051115.pdf

あんしんグーパスは、……小中学生が対象で、阪急電鉄能勢電鉄京阪電車PiTaPaに対応した路線で利用可能。自宅最寄り駅と学校や塾のある駅を登録すると、往復の改札通過のタイミングで計4回のメールが保護者の携帯電話に届く仕組みだ。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/11/15/9863.html

んで、正式サービス開始に向けてモニター調査をやったらしい。

スルッとKANSAIPiTaPaグーパスでは正式サービスに先駆け、9月から雲雀丘学園小学校(兵庫県宝塚市)と日能研関西でモニター試験を実施。アンケート結果では97%の保護者が「安心した」と回答したため、10月末までの予定だったモニター試験を12月16日まで延長し、正式サービスの提供を決定したという。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/11/15/9863.html

検証しなきゃいけないのは、「安心」かどうかより「安全」かどうかだろうに。
情報が簡単に漏れるようなことがあれば、「安心」→油断→逆に「危険」でないかね。
ちょっとおもしろいのは、このモニター調査についての記述が、共同通信配信記事では微妙に違うところ。

スルッとKANSAIなどは9月1日から2カ月間、雲雀丘学園小学校(兵庫県宝塚市)と学習塾「日能研関西」の児童89人でモニター試験を実施。アンケートに応じた44人の親のうち43人が「安心感が増した」と答えたという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051115-00000157-kyodo-soci

えっと、つまり、89人中の44人が回答して、うち43人が「安心」と答えたということですわな。
44人中の43人は97%という計算はまちがいではないが、そもそもアンケートに協力しなかった残り45人は「どうでもええわ」と考えていたから、アンケートにも応じなかった可能性もある。
モニターがどう選ばれたかにもよるが、モニターへの応募が任意だった場合、こういうサービスに関心の高い人が実験に協力→そのなかでもさらに関心の高い人がアンケートにも回答→うち97%が「安心」と回答、ということかもしれない。
要は、実験前から「こういうサービスがあると安心だな」と考えている人が、「やっぱり安心」と答えた可能性が多分にあるということだ。
だとすれば、出来レースのようなもの。


先にふれたように、そもそも検証すべきは「安心」かどうかでなく、「安全」かどうか。
世間的同意をとりつける(アリバイ作りの)ために、「安心」をネタにこういう調査・実験をするのって、どうよ。
こういうモニター調査をするお金があったら、高木浩光さんかどなたかに「安全」かどうかをちゃんと検証してもらったほうがいいと思うが。