【転載】災害情報、広報の視点からみた「今、被災地のためになすべきこと」

(21日追記)
関谷直也さんがご自身のホームページに情報・提言をアップされています。
支援のためにすべきこと・できることは時間の経過とともに変わっていきます。
以下はあくまで18日時点のものであることを念頭にお読みください。


ここは大阪大学大学院人間科学研究科准教授、辻大介のブログです。
(信頼性確保のために所属を記載しましたが、大学の活動ではなく、個人で運営しています。)
災害情報の専門家、東洋大学の関谷直也准教授からのメッセージを、ご本人の許可を得て取り急ぎ転載します。
チェーンメール化して内容が変わるのを防ぐため、内容そのものの転載はお控えください(リンクはご自由に)。


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災害情報、広報の視点からみた「今、被災地のためになすべきこと」
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                    2011年3月18日(Ver1)

             東洋大学社会学
             メディア・コミュニケーション学科准教授
             /日本広報学会理事
                       
                             関谷直也


 今回の規模の災害では、[1]壊滅的な被災エリア、[2]その奥、山側にある、避難している人たちがいる支援のあるばらばらの被災エリア、[3]情報として孤立し、支援のない被災エリア、[4]その周りのライフライン、物流が滞っているエリアと多層的です。メディアで報道されているのは、[1]、[2]が中心です。
 復旧段階の現在、[3]をいち早く全貌を確認すべきです。また[4]も重要です。今物資がとどいていない人に物資を届けることが重要です。寒さ対策の燃料、水・食料・薬・医療資源が最優先です。他のは後です。医療資源をとどけなければなりません。これを必要とする弱者、高齢者、けが人は今生命の危機にあります。


(1)マスメディアの問題

  • 今問題なのは、被災エリアの全貌が見えてないのに、収束に向かっていることです。自治体そのものが被災し、情報をだせず、規模が大きすぎたり、複合的な災害のため政府や自治体の情報集約能力が欠如しています。
  • 被災地の中に入って情報収集を行えるのはマスメディアだけです。支援団体や企業は、メディアをみて、これからの支援体制を考えています。社会の眼となって、今、被害情報を集約することはマスメディアにしかできないことです。
  • 過去と比べて規模が違いすぎます。ぜひ、業界統合的に行ってください。
  • 端的に言えば、まだ災害報道をしてください。「画」的に飽きられたのと、新しい情報が入ってこない
  • 個人の安否情報よりも集団の安否情報が重要です。それは支援の情報になります。
  • 今は、寒さ対策の燃料、水・食料・薬・医療資源を以下に届けられるかが重要です。個人の安否情報や情緒的な情報が必要な段階ではありません。

(2)企業広報

  • 企業の広報は支店、事業所、チェーン、フランチャイズ、拠点の「被害情報」「集団安否情報」をぜひ開示してください。このような大規模災害では、個人の安否情報では、全体像を把握するのが困難です。それが広報としてできる最大限の減災となります。
  • この、被害情報に加え、物流、支援情報の共有化を。それを共有できれば、災害情報は、物資不足・支援不足によるこれ以上の犠牲者を減らせます。現在からできる最大の減災になります。
  • 企業は組織として、被災地支援を行うべきです。現段階では、個人は金銭的支援が重要ですが、企業は金銭的支援よりも組織的に企業ドメイン、本業にかかわる物資・サービスによる資源を提供してください。
  • できれば、同じ業種で共同して支援活動を行ってください。そうしないと、長期的に支援のばらつきがでます。支援情報を業種で共同して共有化してください。
  • 全貌が把握できていないので、現段階の支援が十分とは思えません。ほぼ間違いなく、現状ではたりません。

(3)ボランティア

  • 今はガソリンが足りていません。今、現地に人を出し、燃料を奪う、道路の混雑に加担してしまうことは、水・食料・薬など命にかかわる支援物資を届けるのを阻害します。一台一台積み重なると相当な分量です。あせる気持ちは日本中一緒です。今は個々にはできるだけ行かないことが最大の支援です。水・食料・薬・医療資源など命にかかわる支援物資を届けるのを阻害します。できるだけ行かないことが重要です。
  • 今は「命の安全」「生命」にかかかわる支援を優先させてください。「生活上の困難」「安心」にかかわる支援よりも、生命の危機を救うことが最優先です。
  • 個々人としては、金銭的支援が一番です。かならず、最終的になんらかの形で、被災者に分配されます。今は個々にはできるだけ行かないこと、見守り、必要な時期を待つことが最大の支援です。

今回の災害は、先進国がうける世界最大の自然災害です。 
過去の災害対策の延長線上で考えずにもっとドラスティックにできることを。


                                 以上
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