特集勉強法のすゝめ

卒論の話が続いてましたが、そろそろ新学期間近でもあることだし、新入生向けのエントリなぞ上げてみます。
ていうか、現2年次の学生さんから(特にアカデミックな内容にこだわらない)裏ゼミをやってほしいというお願いを受けましたので、こういうことを軸にやってみようかなと。
なので、新入生さんでなくても参考になるんでないかと思います。
6年前に学内の広報誌に寄せた文章です。

 特集勉強法のすすめ
勉強とは何も講義やゼミに限ったものではありません。視野を広げ、ものの見方のレパートリーを増やすことすべてが「勉強」と言えるでしょう。その意味での勉強をちょっとおもしろくするコツのようなものを一つご紹介します。それは、月単位で自分なりの「特集」を組む、という方法です。
 特集のテーマは何でもかまいません。子ども向けのSFマンガを60冊読むとか、70年代のハリウッド映画を30本観るとか、そういう目標を毎月決めます。このとき、テーマはできるだけ絞り込み、かつ、そのテーマに関するものは自分の好き嫌いに関わらずとりあえず体験してみること、そして、数をこなすことが大切です。すると、それらの織りなす「世界」がおぼろげに見えてきます。例えば、古典落語を集中的に50本も聞けば、江戸庶民の世界が知識としてではなく肌で感じられてくることでしょう。新聞の一面だけでも各紙30日間分読み比べていけば、メディアが私たちに伝える世界がメディアごとに違っていることを体で感じることができるでしょう。そのとき、おおげさな言い方をすれば、あなたは一つの新しい「世界観」を身につけているのです。
 別に、お金のかかる特集テーマを組む必要もありません。大学のキャンパスを渡り歩いてマンホールの写真を撮り集めてまわるとか、阪急百貨店と阪神百貨店に入った人のあとをこっそり尾行して行動パターンがどう違うかを観察する、なんてことでもいいのです。そんなのあほらしい、と思う人もいるでしょうが、実はこういうことを研究する「考現学」という学問もあるくらいなのです(詳しくは今和次郎著『考現学入門』ちくま文庫を読んでみてください)。
 いずれにせよ、この手の「勉強」は時間的・精神的な余裕がないと難しいもので、会社に入って仕事に追われるようになったりするとなかなかできません。その点でも、大学生である今のうちにみなさんにオススメしておきたい勉強方法です。


なかでもマスコミ業界を目指す学生さんにおすすめしたいのは、その週、その月に出た雑誌を手当たり次第に買って、すべてに目を通してみること。
名の知れた雑誌だけじゃなくて、相撲とか囲碁とか盆栽とか、ありとあらゆる趣味のものを含め、なおかつ『更生保護』とか『保育とカリキュラム』とか、そういうマニアック(?)な専門誌もあわせて。
万単位でお金もかかりますが、投資だと考えてください。
図書館で閲覧する、借りて読む、んでなくて、買うことがけっこう大事(買ったらもったいなくて読む気になりますし、目の前のストックをながめるというのも「読む」ことの一種なので)。
囲碁のルールなんて知らないしぃ、読んでもわかんないしぃ、という人も気にしなくていいです。
「読む」よりも全体に「目を通してみる」ことがまず大事。
で、「読む」のはおもしろそうな、読めそうな記事やコラム、エッセイだけでもかまわない。
これを1ヶ月だけでもやってみると、かなり世界の幅が広がるはず。
面接や筆記試験のときの話のネタにも役立ちます。
同じようなネタが『更生保護』と『月刊大相撲』だと、全然違う切り口から記事にされている、とか、そういうリンク、発見も必ずあるはずで、これも勉強になります。